お知らせ

コープ自然派で、自然の住まいをつくろう\毎月更新中/

2026.3.2

日本の山を守るため、そしてわたしたちの健康を守るために、自然の住まいで暮らしませんか?住まいづくりを考える新連載です。
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国産材住宅推進協会06-6395-3332(9:00~18:00)

#7 国産材を知るということ

コープ自然派では国産材を推奨していますが、その特性によりクレームが多いというのもまた事実です。そこは人間関係と同じように、相手を知れば見え方も変わってきます。

無垢材の新築の家は、入居1~2年くらいは「バキッ」「パシッ」という大きな音が時々聞かれます。「木が暴れる」という現象です。木は伐採した瞬間から乾燥が始まりますが、その課程で収縮し、反りや割れが生じます。木の育ち方、年輪や含水率、気温や湿度によって、加工後もねじれたり曲がったり、反り方も一定方向でなかったり…となかなかに厄介者なのです。

その主な原因は、日本の木が育つ環境にあります。日本の森林は急な傾斜地が多く、四季の寒暖差は激しく、湿気や台風、腐朽菌や病害虫と過酷です。北欧など広大で平坦、また気温の変化の少ない土地と比べると、木へのストレスの差は歴然です。育ち方によってみな性格が違い、どれひとつ同じものはないのです。

職人たちは、木材の癖や性質を長年の経験や知識を基に見極め、反りや割れを高精度で予測します。そのうえで木取りや工法を選び、構造上問題にならないように、まさに適材適所の配置をしているのです。木の性質を熟知している人たちが、よくよく考えて使った時にこそ、国産材の真価が発揮されると言えるかも知れません。

このように技術を結集して建てられた家であっても、無垢材に関しては「すぐに傷がついた」 「節が気になる」 「隙間が…」などとクレームは絶えません。その背景には、木目が均一できれいな木質新建材の普及もあるでしょう。見かけが美しくそろったものが好まれる世の傾向です。でもそれらはあくまで木材風であって、香りや触ったときの温かみはありません。

無垢材は生きています。しっかり管理すれば耐久性も強度も抜群ですが、最終的には自然に還る素材です。自然の摂理に沿った変化を楽しみ、その声に耳を傾けてみましょう。
大量生産、使い捨て社会の限界が叫ばれる今、もう一度、愛着をもって直しながら育てることの価値に目を向けてほしいと思います。その中に、国産材の家が選択肢の一つとしてあってほしい。これからも国産材を知り、そのたくさんの魅力を伝え続けていきたいと思います。(2026.3.2)

#6 里山の風景をつくる会 近藤さんが語る〈自然の住まい協議会〉

コープ自然派では、2つの住宅NPOと「自然の住まい協議会」を設立して活動しています。今回は、そのひとつ「里山の風景をつくる会」代表の近藤こよ美さんのお話を紹介します。
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私はもともと、コープ自然派が徳島にできるときの発起人のひとりでした。生協設立後は理事になり、生協としてどういうふうに地域に貢献していけるか、ということを考えていたときに、吉野川第十堰問題が起こりました。

吉野川第十堰とは、徳島県を流れる吉野川の水量を調整するために、江戸時代に作られた、石組みの「堰」です。この第十堰を可動堰化するという話が国交省から持ち上がり、川が疲弊することを心配した市民たちの反対運動が巻き起こったのが吉野川第十堰問題でした。

コープ自然派でも地域の住民とともに反対運動に参加し、2000年1月23日に住民投票が行われた結果、投票率55%、うち可動堰化への反対票91.6%で公共事業をストップすることができました。この経験を通して、生協は地域に浸透し、貢献していくことができるんだという実感を持つことができました。

私は、食べるものにはすごくこだわっていましたが、家を建てたときにシックハウス症候群になってしまったんです。塩ビのクロスなど気になるものは使っていないつもりでしたが、それでもいろいろな建材や接着剤のなかにはホルムアルデヒドをはじめとする有害化学物質が入っているんだと実感。「食べるものより空気のほうがはるかに大事じゃないか!」と、そこに考えが至っていなかったことを恥じると同時に、生協で住まいのことをやっていく必要性をすごく感じたんです。

そういう背景もあって、生協発のNPO法人「里山の風景をつくる会」に関わることになりました。いちばんの思い出は、生協主催で開催した「ラブレターto吉野川」というシンポジウムです。源流米からはじまって、吉野川の上流から下流までに関わる生産者を多数招いてトークリレーを行う素晴らしいシンポジウムで、またこういうことができればいいなと思います。

家づくりを通して、森の生産者と町の消費者が顔の見える関係を築く。そういう手ごたえは、 「自然の住まい協議会」ができてますます強くなっています。生協の活動にもっともっと浸透していくことで、自然の住まいをさらに広げていく道筋にしていきたい、していけるのではないかと感じています。
(2026.2.9/2021年5月12日講演より抜粋)

#5 国産材住宅推進協会 北山さんが語る〈自然の住まい協議会〉

コープ自然派では、2つの住宅NPOと「自然の住まい協議会」を設立して活動しています。今回は、そのひとつ「国産材住宅推進協会」代表の北山康子さんのお話を紹介します。
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国産材の推進運動をはじめる以前は、 欠陥住宅の追放運動をしていました。当時、家は建てたら売れるという時代で、悪徳事業者も多く、欠陥住宅に泣く人が後を絶たない状況でした。欠陥住宅の問題は、家の問題だけでは済みません。ローンを払い続けている家の雨漏りが直らなければ、そこに住む人の精神がまいってしまいます。夫婦仲が険悪になり、家を建ててほどなく離婚に至ってしまったご家族もありました。大きな買い物である家づくりにおいて、内容の面でも価格の面でも、 消費者側に立った家づくりがしたいという思いから、設計事務所を立ち上げることになりました。

欠陥住宅追放運動のするなかで気づいたのは、ユーザーが建築のことを知らなさすぎるということでした。知らなければ騙されることもありますが、逆に瑕疵がなくても理解不足から「欠陥だ」と勘違いしてしまうこともあります。そこで、構造見学会やセミナーを開催し、ユーザーに学んでもらう機会を多くつくってきました。そんななか、高知県の林業家から、間伐材を有効活用できないかと相談があったことをきっかけに、国産材の利用推進の活動にシフトしていきました。1984年国産材住宅推進協会の前身となる「国産材住宅を推進する会」を立ち上げ。はじめ、奈良県黒滝村や下北山村、川上村、和歌山県龍神村などとも産直提携を探りましたが、お互いのタイミングが合ってタッグを組むことができたのが宮崎県でした。その後1999年に「国産材住宅推進協会」をNPO法人化、2005年に大川さんと出会ったことをきっかけに「自然の住まい協議会」設立に至ります。

「自然の住まい協議会」でコープ自然派と一緒に家づくりをはじめるまでは、国産材で家を建てるお施主さんはお金持ちの人ばかりでした。でもコープ自然派の組合員は年齢層も若く、価格もシビア。そういう一般の人の手に届く国産材住宅を届けられるようになったことが、すごく意義深いことだと感じています。コープ自然派とつきあうなかでは、国産材のメリットだけではなく、デメリットもちゃんと伝えて理解してもらうことを意識してきました。見学会などを通して、職人と組合員が出会うことは、職人の誇りにもつながると感じています。職人と施主が対等な立場で、可能な限り腹を割ってほんとうの話をしながら、家づくりをしていけたらと思っています。
(2026.1.19/2021年7月14日講演より抜粋)

#4  家の進化と生き物たち

最近すずめの姿を見かけなくなったと思いませんか?すずめは現在、絶滅危惧種に匹敵するほどのハイペースで激減しています。農薬や気候変動でえさの昆虫が減っていることもりますが、巣を作る場所がなくなっていることが大きな原因です。

すずめは昔から、屋根瓦やベランダ、雨戸の戸袋など家の隙間に営巣していました。コウモリやヤモリ、スズメバチやクモなど家に住む生き物は多く、困りごとと考えられていますが、害虫を食べてくれたり、他の動物のえさになったり、生態系の多様性からみると大切な役割があります。

さて最近の住宅の特徴は、もっぱら気密性の高い家。断熱のために窓やベランダを小さくし、防湿シートや気密テープで建物の隙間を極力なくすように作られています。おかげで外気の影響を受けにくく、湿度も調節でき、カビや結露が抑制されます。ところが住む人が快適に暮らせる一方で、生き物たちはどんどん住む場所を奪われているのです。

さらに家の中には目に見えない微生物が数百万~数千万種類いると言われています。気密性に加え、過度の除菌習慣などによって、これらの微生物も減っています。多様性が崩れると、特定の病原菌が優勢になったり、人の免疫機能が弱って病気になりやすいという指摘もあります。

では家の外はどうでしょう。最近の人気は、コンクリートや砂利、人工芝など手入れ不要の庭。緑があっても、外来植物が好まれたり、除草剤や化学肥料が使われることで土壌バランスが崩れ、生き物の少ない庭になっています。その他にも、都市化が進んで里山がなくなり、鳥が窓ガラスに衝突したり、動物が車に轢かれるなどの事故は絶えず、夜も明るい照明や騒音によって彼らの暮らしは乱され、住む場所を追いやられています。このままでは、生き物の絶滅は止まりません。

このような危機的状況の中で、生き物と共生する家づくりの取り組みが、国内外ですでに始まっています。壁面緑化や屋上の植栽で鳥や昆虫のえさ場を作ったり、木や土壁、漆喰などの自然素材を利用したデザイン、壁に隙間を残して鳥やコウモリが巣を作れる設計、その他にも照明や通風の配慮などがあります。

その他、開発前から生態系の調査をしたり、緑地や水辺を残して都市計画をする企業の取り組みや、住民が一緒に緑化や保護活動をする自治体、補助金制度など 「人の暮らしを自然の一部として設計する」 発想にも注目です。

生物多様性とは、ただ種類が多いということではなく、遺伝子、種、生態系それらの 「つながりの網の目」そのものを意味しています。その危機は、私たちの暮らし、食糧、健康への危機に直結するのです。

持続可能な地球環境を守るためにも、家づくり、街づくりから、共生の視点を持つことは今後も大切になってくるでしょう。(2025.12.15)

#3  国産材を使うということ

「森は海の恋人」という言葉をご存じでしょうか?森林は多種多様な生き物の暮らす場です。落ち葉や生き物の糞や死骸を微生物が分解し、豊かな土壌を育みます。栄養分の溶け出た水が川から海に流れ、海も豊かになります。その海水が蒸発して雲になり、雨を降らせ森の植物を育みます。このように、森と海は深く繋がっているのです。

日本は国土の67%が森林です。そのうちの4割が杉や檜の人工林ですが、現在そのほとんどが手入れもされずに放置されています。木が伐採されないので光が差さず、下草が生えないので生態系も貧しくなります。土地がやせていくと木が根を張れず、土砂崩れの危険性も高まります。なぜここまで森が荒れてしまったのでしょうか?

その大きな原因は、安価で流通も安定している輸入材が多く使われることによって、国産材の需要が激減したからです。国産材は需要が少なく、売れても安い値段で取引されるため国内の林業は経済的に成り立たず、崩壊していきます。これでは林業に携わる人たちもどんどん減ってしまうでしょう。

国産材をたくさん使い、また植えて育て伐採するという循環は、日本の森の環境、生態系を守るだけでなく、CO2を吸収し、地球温暖化防止にも貢献します。持続可能な森林、そして資源となるのです。

一方で輸入材は長時間の輸送に耐えるため、防虫剤や防腐剤が塗布されます。現地での防カビ処理は、そこで働く人の健康を害し、さらに薬剤が流れて川や海を汚します。建材として使われてからも、住む人にアレルギーや喘息など様々な症状を引き起こします。そのため、日本では建築基準法で24時間換気システムが義務化されました。

また輸送に大きなエネルギーやコストもかかります。それでも安い理由の裏には、過酷な労働や低賃金の問題、過剰な伐採による環境破壊などが隠れていることを知ってほしいと思います。

家を建てる時、DIYをする時、木の雑貨を買うとき、その木の産地を少し気にしてみませんか。そして、その木が育ってきた森林の風景や、年輪に刻まれてきた歴史にも想いを馳せてみてほしいと思います。

日本は美しい森林の国です。コープ自然派は、この森そして海を守るためにも国産材を推進しています。(2025.11.17)

#2 「木の魅力」~暮らしに木を取り入れる~

森に行くと自然に深呼吸したくなりませんか?
樹木の香りの成分であるフィトンチッドには、リラックス効果をはじめ、抗菌、抗ウイルス、防カビ、防虫、消臭など多くの効果があることが実験によって立証されています。

木の家に住むということは、森林浴をしながら暮らすということ。無垢の木(接着剤などを使用せずに自然のまま加工された木材)は生きています。湿度が高いときには湿気を吸収し、低いときには放出するという調湿作用があり、一年中とにかく快適です。
まず裸足で歩く床のぬくもり、吸い付くようでいて、さらっとした肌触りには感動します。木は小さな細胞が集まった構造で、クッションのように柔らかく、歩きやすくて疲れにくい。転倒時の衝撃もやわらげてくれます。
表面の凸凹は光を適度に散乱させてくれるので、紫外線が軽減され、目に優しく、また音も適度に吸収し柔らかくしてくれるので、しんと静かです。
木の香りに包まれながら、柔らかい木目の美しさに癒やされて静かに呼吸していると、疲れやイライラを忘れ、ほっと安心できて心が落ち着くのを感じられるでしょう。小さな子どもやペットは、それを直感で感じているのかよく床にゴロンと転がります。

木の床はダニやカビが発生しにくく、衛生的。インフルエンザウイルスの不活化も実証されています。健康に良いので、ハイハイの赤ちゃんから預かる保育園や、感染症が心配な高齢者施設にはぜひ取り入れてほしいです。

とはいえ、今は集成材やビニールクロスなど様々な新建材を使われることが多いです。これらは無垢材に比べて収縮や変形が少なく、加工が容易で、価格も安価です。反面シックハウス症候群や喘息など健康上の問題があります。すべてが木でできた家というのは、様々な理由から難しいでしょう。

そこでおすすめしたいのが、木の家具や雑貨です。
とくに小さなお子さんには、木の玩具やカトラリーに触れて、目で手で舌で、ぜひ本物を感じて欲しいと思います。五感が刺激され、免疫力が上がり、創造力や自然への愛情が育っていく。これが木育です。
木は熱が伝わりにくいので、熱いスープや冷たいアイスクリームも口当たりが優しくなります。木のお弁当箱は、余分な水分を吸収するため、ごはんが傷みにくく、冷めてもふっくら美味しいのです。暮らしの中で木を使えば使うほど、その素晴らしさに驚かされます。

木は柔らかいので傷がつきやすく、年月の経過とともに色味も変化していきますが、これは新建材の劣化とは意味が違います。年を重ねるごとに色や艶が増し、味や風格が出てくるのです。自分自身を労り、磨くのと同様に、住まいや雑貨も大切に育てて、世代を超えて長く慈しんでほしいと思います。

コープ自然派ではこれからも木育講座など企画し、木の魅力をお伝えしていきます。どうぞお楽しみに。(2025.11.03)

#1 家をつくるということ

自然の住まい協議会が手がける奈良で初めての国産材の家ができました。組合員のこだわりの家づくりを伴走された建築士中津真さんに、その過程と住まいへの熱い思いをうかがいました。

「住まいって、ごはんと一緒。どんな暮らしをしたいかが献立で、それを入れる器が暮らす場所です」中津さんは話します。

特別ではなく、身体に優しくて、毎日でも飽きないほっとできる場所。そんな家庭料理のような家で暮らせたら、幸せではないでしょうか。

そして食材にこだわるように、家の素材の産地も気にしてほしいと言います。今回ご紹介いただいた家は、国産の焼き杉の家。施主さんが山で木を切るところから一緒に参加することで、一層新居に愛着がわいたそうです。

納得いく材を確保できたら、「誰と一緒にどう作るか」です。

一軒の家を建てるのに、40~50人が関わる一大プロジェクト。大工さん、左官屋さん、電気屋さん、外構屋さん…それぞれが技術を結集してひとつの家を作っていく課程には物語がたくさんあります。

自然の住まい協議会が自然素材にこだわる大きな理由のひとつには、大工・左官技術を次の世代に継承するという使命感もあります。目に見えないところにも、職人の技術が光ります。そんな職人たちをチームとしてまとめ、施主さんの希望を形にするため指揮をとるのが中津さんたち工務店の役割です。

住む人にとって心地いい環境はそれぞれ違うので、好みや大切にしていることなどをじっくり聴き、予算など様々な制約と折り合いをつけながら、そのご家族に合う住まいを作っていきます。時には何度もやり直したり、予想外のトラブルが起こることも。信頼できるパートナーであるということが、とても大切になってきます。

施工中のお家を公開し、全てを見てもらうこと。デメリットもきちんと伝えること。失敗は正直に謝り、最善を尽くすこと。何ごとにも誠心誠意取り組み、住まいづくりへの献身と研鑽を怠らない中津さんに、ぜひ家を建ててほしいと思いました。

食べ物と同様、「家はつくるものではなく買うもの」という風潮の昨今。コープ自然派はやっぱり家づくりも産直=生産者と消費者の顔が見える関係を大切にしています。そこにはいつも人と人、そして人と自然(森から海まで)の深い関わりがあります。(2025.09.29)