お知らせ

コープ自然派で、自然の住まいをつくろう\毎月更新中/

2025.11.17

日本の山を守るため、そしてわたしたちの健康を守るために、自然の住まいで暮らしませんか?住まいづくりを考える新連載です。
【ご相談・お問い合わせ】

国産材住宅推進協会06-6395-3332(9:00~18:00)

#3  国産材を使うということ

「森は海の恋人」という言葉をご存じでしょうか?森林は多種多様な生き物の暮らす場です。落ち葉や生き物の糞や死骸を微生物が分解し、豊かな土壌を育みます。栄養分の溶け出た水が川から海に流れ、海も豊かになります。その海水が蒸発して雲になり、雨を降らせ森の植物を育みます。このように、森と海は深く繋がっているのです。

日本は国土の67%が森林です。そのうちの4割が杉や檜の人工林ですが、現在そのほとんどが手入れもされずに放置されています。木が伐採されないので光が差さず、下草が生えないので生態系も貧しくなります。土地がやせていくと木が根を張れず、土砂崩れの危険性も高まります。なぜここまで森が荒れてしまったのでしょうか?

その大きな原因は、安価で流通も安定している輸入材が多く使われることによって、国産材の需要が激減したからです。国産材は需要が少なく、売れても安い値段で取引されるため国内の林業は経済的に成り立たず、崩壊していきます。これでは林業に携わる人たちもどんどん減ってしまうでしょう。

国産材をたくさん使い、また植えて育て伐採するという循環は、日本の森の環境、生態系を守るだけでなく、CO2を吸収し、地球温暖化防止にも貢献します。持続可能な森林、そして資源となるのです。

一方で輸入材は長時間の輸送に耐えるため、防虫剤や防腐剤が塗布されます。現地での防カビ処理は、そこで働く人の健康を害し、さらに薬剤が流れて川や海を汚します。建材として使われてからも、住む人にアレルギーや喘息など様々な症状を引き起こします。そのため、日本では建築基準法で24時間換気システムが義務化されました。

また輸送に大きなエネルギーやコストもかかります。それでも安い理由の裏には、過酷な労働や低賃金の問題、過剰な伐採による環境破壊などが隠れていることを知ってほしいと思います。

家を建てる時、DIYをする時、木の雑貨を買うとき、その木の産地を少し気にしてみませんか。そして、その木が育ってきた森林の風景や、年輪に刻まれてきた歴史にも想いを馳せてみてほしいと思います。

日本は美しい森林の国です。コープ自然派は、この森そして海を守るためにも国産材を推進しています。(2025.11.17)

#2 「木の魅力」~暮らしに木を取り入れる~

森に行くと自然に深呼吸したくなりませんか?
樹木の香りの成分であるフィトンチッドには、リラックス効果をはじめ、抗菌、抗ウイルス、防カビ、防虫、消臭など多くの効果があることが実験によって立証されています。

木の家に住むということは、森林浴をしながら暮らすということ。無垢の木(接着剤などを使用せずに自然のまま加工された木材)は生きています。湿度が高いときには湿気を吸収し、低いときには放出するという調湿作用があり、一年中とにかく快適です。
まず裸足で歩く床のぬくもり、吸い付くようでいて、さらっとした肌触りには感動します。木は小さな細胞が集まった構造で、クッションのように柔らかく、歩きやすくて疲れにくい。転倒時の衝撃もやわらげてくれます。
表面の凸凹は光を適度に散乱させてくれるので、紫外線が軽減され、目に優しく、また音も適度に吸収し柔らかくしてくれるので、しんと静かです。
木の香りに包まれながら、柔らかい木目の美しさに癒やされて静かに呼吸していると、疲れやイライラを忘れ、ほっと安心できて心が落ち着くのを感じられるでしょう。小さな子どもやペットは、それを直感で感じているのかよく床にゴロンと転がります。

木の床はダニやカビが発生しにくく、衛生的。インフルエンザウイルスの不活化も実証されています。健康に良いので、ハイハイの赤ちゃんから預かる保育園や、感染症が心配な高齢者施設にはぜひ取り入れてほしいです。

とはいえ、今は集成材やビニールクロスなど様々な新建材を使われることが多いです。これらは無垢材に比べて収縮や変形が少なく、加工が容易で、価格も安価です。反面シックハウス症候群や喘息など健康上の問題があります。すべてが木でできた家というのは、様々な理由から難しいでしょう。

そこでおすすめしたいのが、木の家具や雑貨です。
とくに小さなお子さんには、木の玩具やカトラリーに触れて、目で手で舌で、ぜひ本物を感じて欲しいと思います。五感が刺激され、免疫力が上がり、創造力や自然への愛情が育っていく。これが木育です。
木は熱が伝わりにくいので、熱いスープや冷たいアイスクリームも口当たりが優しくなります。木のお弁当箱は、余分な水分を吸収するため、ごはんが傷みにくく、冷めてもふっくら美味しいのです。暮らしの中で木を使えば使うほど、その素晴らしさに驚かされます。

木は柔らかいので傷がつきやすく、年月の経過とともに色味も変化していきますが、これは新建材の劣化とは意味が違います。年を重ねるごとに色や艶が増し、味や風格が出てくるのです。自分自身を労り、磨くのと同様に、住まいや雑貨も大切に育てて、世代を超えて長く慈しんでほしいと思います。

コープ自然派ではこれからも木育講座など企画し、木の魅力をお伝えしていきます。どうぞお楽しみに。(2025.11.03)

#1 家をつくるということ

自然の住まい協議会が手がける奈良で初めての国産材の家ができました。組合員のこだわりの家づくりを伴走された建築士中津真さんに、その過程と住まいへの熱い思いをうかがいました。

「住まいって、ごはんと一緒。どんな暮らしをしたいかが献立で、それを入れる器が暮らす場所です」中津さんは話します。

特別ではなく、身体に優しくて、毎日でも飽きないほっとできる場所。そんな家庭料理のような家で暮らせたら、幸せではないでしょうか。

そして食材にこだわるように、家の素材の産地も気にしてほしいと言います。今回ご紹介いただいた家は、国産の焼き杉の家。施主さんが山で木を切るところから一緒に参加することで、一層新居に愛着がわいたそうです。

納得いく材を確保できたら、「誰と一緒にどう作るか」です。

一軒の家を建てるのに、40~50人が関わる一大プロジェクト。大工さん、左官屋さん、電気屋さん、外構屋さん…それぞれが技術を結集してひとつの家を作っていく課程には物語がたくさんあります。

自然の住まい協議会が自然素材にこだわる大きな理由のひとつには、大工・左官技術を次の世代に継承するという使命感もあります。目に見えないところにも、職人の技術が光ります。そんな職人たちをチームとしてまとめ、施主さんの希望を形にするため指揮をとるのが中津さんたち工務店の役割です。

住む人にとって心地いい環境はそれぞれ違うので、好みや大切にしていることなどをじっくり聴き、予算など様々な制約と折り合いをつけながら、そのご家族に合う住まいを作っていきます。時には何度もやり直したり、予想外のトラブルが起こることも。信頼できるパートナーであるということが、とても大切になってきます。

施工中のお家を公開し、全てを見てもらうこと。デメリットもきちんと伝えること。失敗は正直に謝り、最善を尽くすこと。何ごとにも誠心誠意取り組み、住まいづくりへの献身と研鑽を怠らない中津さんに、ぜひ家を建ててほしいと思いました。

食べ物と同様、「家はつくるものではなく買うもの」という風潮の昨今。コープ自然派はやっぱり家づくりも産直=生産者と消費者の顔が見える関係を大切にしています。そこにはいつも人と人、そして人と自然(森から海まで)の深い関わりがあります。(2025.09.29)