お知らせ

奈良県主要農作物種子生産実施要綱・要領が策定されました!

2025.8.7

奈良県の種子条例制定に向けての活動報告
~奈良県主要農作物種子生産実施要綱・要領が策定されました

2018年の種子法廃止を受け、多くの都道府県では、主要農作物(米、麦、大豆など)の種子の安定供給が引き続き行えるよう、種子条例を制定する動きが起こりました。これをきっかけに「奈良県にも種子条例を」との思いで、コープ自然派奈良では他団体などと共同で、条例の制定を求める署名の提出を行いました。しかし県は、「2020年に施行した『奈良県豊かな食と農の振興に関する条例』の基本計画の中に明示してあるので、新たに条例を設ける必要はない」という見解を示してきました。

この条例と基本計画についての学習会の際、県の担当課の方から、「奈良県の主要農作物の種子については、これまで通りの供給が行えるよう、県と米麦改良協会が覚書を交わしているので大丈夫です」という回答をもらいましたが、覚書では今後の安定供給が担保されないのでは、という不安も感じました。

その後、県知事が交代したタイミングで、種子条例の必要性について改めて、議員の皆さんにも周知と理解を得られるよう、県議や市議を交えた学習会や懇談を重ねてきました。そしてようやく昨年度、これまで覚書だったものを「奈良県主要農作物種子生産実施要綱・要領」の形にあらため、2025年3月24日に制定、施行される運びとなりました。要綱の第1条には、「…主要農作物の優良な品種の決定及び種子の安定的な生産・供給体制の整備その他の措置を行う…」の文言が書かれており、これまでよりも大きく前進した印象です。また、要領において、県の奨励品種の改廃を検討する審査会の構成員には、「その他」の項目が設けられ、ここには私たち消費者や生産者が入れる可能性があるそうです。

要綱・要領策定に携わった県の食農部の方からは、「今回要綱を策定したことで、種子を今後も継続して守っていく意識が高まりました」というお話がありました。また、先日(6月)の県議会では、遺伝子操作された、重イオンビーム育種米の開発や導入について、県議から知事への質問があがりましたが、「重イオンビームを利用して作出された米の品種につきましては、現在県において奨励品種として導入する予定はございません。」という回答がありました。

要綱・要領が策定されたことは大きな一歩です。これで良しとせず、今後も私たちの主食であるお米や小麦の安定的な生産や、農家の自家採種の権利が守られるよう、より充実した内容の種子条例の制定に向けて、活動を継続していきたいと思います。

※質問6:02~13:15、回答30:12~23:55、再質問と回答40:28~42:35